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全国の児童館から今、しんどいこどもたちに発信 「じどうかんもあるよ」

全国に約4,300ある児童館は、0~18歳であれば誰でも、いつでも無料で利用できる場所です。専門資格を持った職員(児童厚生員)がおり、困った時には相談もできます。


そんな児童館から届けられているメッセージが、「じどうかんもあるよ」です。これは、夏休みなどの長期休暇明け、心にしんどさを抱えるこどもたちに「児童館」という学校でも、家でもない居場所の存在を伝えるものです。


今年も、自殺予防週間に先駆けて7月25日(金)~9月16日(火)の間、各児童館で生きづらさを抱えるこどもに対して、「じどうかんもあるよ」のメッセージを各児童館から発信しました。今回は、その事例を紹介します。


事例①こどもたちからこどもたちへ、メッセージ発信


東京都多摩市・永山児童館では、こどもたちによる手作りポスターを制作し「じどうかんもあるよ」のメッセージを発信しました。


永山児童館職員の向井さんが「じどうかんもあるよ」というメッセージについてこどもたちに伝え、ポスターづくりを呼びかけました。その際には、参加を強制するのではなく、こどもたちの「やりたい」を尊重するため、希望者だけに描いてもらうことにしたそうです。


向井さんは、大きな画用紙の中に枠となるマルを描くなど、こどもたちが書きやすいように制作をサポートしながら、こどもたちの声を引き出し、ポスターという形にしました。「おすすめのおもちゃは○○○○だよ」「児童館にはテラスもあるし、公園もあるよ!」など、こどもたちならではの視点で、児童館の良さを紹介してくれています。


今回のポスター制作は小学生を中心に行いましたが、中には、「学校に行きたくない気持ちはわかる」という子もいました。その中で、「どんな遊びだったら、どんなことができたら来てくれるかな」などを考えながら、自分たちの考えや気持ちを言語化してくれています。



ポスターは児童館の入り口のフェンスに掲示されています。近くには保育園、小学校、中学校があり、多くのこどもたちや保護者、地域の方も目にする場所です。実際にポスターを立ち止まって見てくれるこどもや保護者の方もいて、メッセージが届いていることがわかります。さらに、街全体のイベントでは、駅前にポスターを掲示し、たくさんの方が目を止めてくれたそうです。


こどもたちは、しんどい・困っている自覚がない場合がありますが、“もやもや”を抱えていることは少なくないそうです。児童館という居場所で、日々こどもたちと触れ合っている職員だからこそ気づく、さりげない違和感やいつもと違う雰囲気もあります。


「児童館は何も目的がなくても来ていい。困ってなくてもいい。"もやもや"をつぶやかなくても、態度でもいいから『○』『△』『×』を示してほしい。児童館には受け止める大人がいる。とにかく自分で気持ちを表現してほしい」と永山児童館の榎原館長は話しています。







また、徳島県吉野川市の鴨島児童館でもこどもたちが制作したポスターを掲示しています。


小学生だけではなく、中学生や保護者の方々など幅広い年代の方が児童館に集い、メッセージをつくりました。ポスターは、児童館だけではなく、吉野川市役所などにも貼りだされています。


事例②:来館のきっかけを増やす児童館の取組


児童館では、普段児童館に通っていないこどもたちでも、気軽に来館できるきっかけづくりに取り組んでいます。


◇東京都北区の浮間子ども・ティーンズセンター:
中・高校生世代向けの開館時間を、乳幼児親子や小学生よりも1.5時間長くし、こどもたちがくつろげる空間をつくっています。
ドリンクを飲みながら雑談ができる「ティーンズカフェ」を開催したり、ダンスクラブやダーツタイムを設けたり、中・高校生世代が過ごしやすい時間やイベントを実施することで、気軽に来館するきっかけづくりに注力しています。


また毎月、弁護士でもある子どもの権利擁護委員がセンターを訪問し、中・高校生世代から気軽に相談を受けています。



ティーンズダンスクラブに集う中・高校生世代



◇福岡市立中央児童会館あいくる:
自由に来館できる児童館だからこそ、自分にあった児童館の楽しみ方を見つけてもらうために「青春応援通信」にて、おすすめの利用方法をYES/NO チャートで診断できるようにしています。
卓球で遊ぶ、飲食スペースを利用する、クラブ活動に参加するなど、多様な過ごし方を紹介しています。








事例③:こどもと保護者に届けるSNS発信!


こどもたちや保護者が見ているSNSにて、児童館の雰囲気が伝わる動画を発信しました。


◇沖縄県読谷村の読谷みらい児童館:
「女優になりたい」という女の子のやりたいことを実現するべく、動画を制作しました。






◇京都市の修徳児童館:
児童館は誰でも自由に来館できる場所だと、職員たちが元気に発信しています。






◇愛知県東郷町の兵庫児童館:
普段児童館に通っているこどもたちから、児童館に来た事がないこどもたちへ、おすすめの遊び方を発信しました。







まとめ


児童館はこどもが飾ったり、遠慮したりする必要がない、家でも学校でもない居場所です。こどもの心に寄り添ってくれる大人が近くにいることで、こどもたちの本音を引き出し、必要な場合は支援につなげることができます。


本キャンペーンを通して、児童館は、さまざまな状況に置かれたこども一人ひとりの声にならない声、声に出さない思いや意見に耳を傾け、心を寄せてこどもが安心できる居場所であり続けることを社会に発信するとともに、全国の機運を高めることができました。
今後も児童館は、こどもの声を聞きながらこども主体の居場所としての活動を続けて参ります。


ぜひお近くの児童館に足を運んでみてください。児童館の場所は、「児童館を探す」から検索いただけます。



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