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子どもと一緒に考え児童館をつくっていくユニークな取り組み

2023年4月、「こどもまんなか社会」の実現を掲げたこども家庭庁が発足しました。


こども大綱の基本方針の6つの柱の一つとして、「こどもや若者、子育て当事者の視点を尊重し、意見を聴き、対話しながら共に考えていく」ことが明記されており、子どもの声に耳を傾け、それを政策などに反映していくことがこどもまんなか社会につながります。


児童館は、子どもが自らの意思で自由に来館して、無料で利用することができる児童福祉施設です。これまでも安心して過ごせる「子ども主体の居場所」として活動を展開しています。


そこで、今回は子どもが主体となり、専門知識を持つ職員(児童厚生員)とともに児童館の企画・運営やルールづくりに携わっている児童館のユニークな事例を2つご紹介します。


地域とつながり、子どもの“やってみたい”を実現する/東京都目黒区平町児童館



▲アンケートを集めるTMKスタッフの子どもたち


東京都目黒区にある平町児童館は、2018年に開館しました。開館当初から、子どもたちが主体となって考え、児童館運営に積極的に関わる「キッズスタッフ活動」を実施しています。


「子どもたちの主体性、自主性、社会性(自ら考え行動、みんなで協力し合う力)を育み、“やってみたい”をかたちにすることで、自己肯定感を高める機会をつくる。子どもたちが新しいことにチャレンジし、輝ける場所を作りたい」と思いこの取り組みが始まりました。


キッズスタッフ活動の中には、小学生を対象としたTMK(Taira Machi Kids)スタッフと、中・高校生世代を対象としたTMT(Taira Machi Teens)の取り組みがあります。


まず、小学生を対象としているTMKは、単年登録制の取り組みです。4年生~6年生がメインとなって活動しており、1年生~3年生は「TMKプレスタッフ」として、お兄さん・お姉さんの活動を見学したり、お手伝いをしたりすることができます。


みんなが平等に意見を述べる機会を設けること、こどもたちの“やってみたい”を、こどもたちと一緒に考えて実現することを大切に活動しているTMKは、定期的な子ども会議を実施し、児童館の運営やイベント企画・運営について話し合います。


これまでハロウィンやクリスマスをはじめとした季節のイベント、みんなで楽しく運動遊びをするJUMP-JAM大会、実況もつけたeスポーツ大会など、さまざまなイベントの企画・運営に携わり、当日の司会進行なども担当。また、近隣の老人ホームを定期的に訪問したり、地域イベントにて司会進行を担当したり、幅広い年代の地域住民と積極的に交流しています。



▲地域のイベントで司会進行を担当したTMKメンバー


実際にTMKの活動に参加している子どもたちは、「みんなのお手伝いをすることでえがおになってくれるから私もうれしくなります」「いろんな楽しいおしごとがあるからやっておいてよかったと思いました」など、とてもやりがいを感じています。また、「子どもたちの行動力や発想力に驚きと感動した」という地域の方からの声や、「学校では見せない姿が見られた」という学校の先生の声などもあります。子どもたちが楽しみながら、考えたり、行動したり、挑戦したりする機会になっていることがうかがえます。


次に、中学生・高校生を対象としたTMT(Taira Machi Teens)の活動もあります。事前登録は不要のため、中・高校生世代あれば誰でも参加できる取り組みです。「中・高校生世代もTMTの活動を通して、児童館と積極的に関わってほしい」という想いがあり、その土台として開設当初からTMK活動を進めてきました。


中・高校生世代を対象としたイベントを月1回企画・運営をするほか、児童館のルールづくりやTMTスタッフのキャラクターづくりなど、信頼できる児童館職員と連携しながら児童館の運営にも積極的に関わっています。


▲TMTメンバーが使うファイルとノートには、みんなの意見が集約されている


学校、部活、塾など忙しくなってくる中・高校生世代ですが、全員が同じ時間に集まれない場合でもノートやファイルを使って、コミュニケーションをとっています。児童館における課題について分析し、新しいルールづくりについての意見交換をしたり、新しいイベント開催のための企画案をつくったりなど、一人ひとりの個性が溢れる内容です。


また、TMTの中・高校生世代が通う学校と、児童館をつなぐパイプ役としても活動しています。学校の先生に児童館での活動を知ってもらったり、部活動単位での交流があったり、児童館内だけには留まらず、地域ともつながっています。


中・高校生世代にとってより魅力的に!子どもたちが自ら児童館をプロデュース(児童館「ラフラフ」/広島県三原市)



▲「新児童館ティーンズ検討委員会」のミーティングの様子


広島県三原市の児童館「ラフラフ」では、中・高校生世代を中心にしたユニークな取り組みがあります。「新児童館ティーンズ検討委員会」を立ち上げ、児童館をプロデュースする中・高校生を募集。子どもたちの意見を聞きながら、児童館をリニューアルしました。


リニューアル前は、児童館を利用する中・高校生世代の数が少ないという課題を抱えていました。そのため“新しい”児童館では、中・高校生世代が気軽に訪れ、第三の居場所となるような空間となることを目指し、中・高校生と一緒に児童館をつくっていきました。


「新児童館ティーンズ検討委員会」の取り組みを知った三原市内の高校との連携を果たし、「総合的な探求の時間」の授業内で児童館の課題や改善点、中・高校生世代でも楽しめるような設備などを検討。毎回話し合いのテーマを決め、グループワークを多く取り入れたり、ほかの施設の具体例を示したりすることで、活発なアイデア出しができました。


▲毎回のテーマに沿って、積極的なアイデア出しが行われる


新児童館ティーンズ検討委員会の会議の際に、大人から「すべての意見に間違いはないので、思ったことを言ってほしい」と子どもたちに伝えることや、会議の終了後に参加者の感想を聞き、「意見が出しにくかった」という声があれば改善することで、子どもたちの率直な意見を引き出せるように工夫しました。


検討委員会の最後には中・高校生が検討結果を自らまとめ、三原市へのプレゼンテーションを実施。実際にたくさんの子どもたちの意見が反映されました。例えば、“児童館”という名前は未就学児や小学生という印象が多いことから、「笑う/Laugh」と「気軽な・気楽な・自然な/ラフな」の2つの言葉をかけ合わせた「ラフラフ」という名前に変更。また無料Wi-Fiの導入や、学習スペースの確保、大鏡付きのダンスルームの設置など、中・高校生世代のニーズにあった施設に生まれ変わりました。もちろん、自分たちとは異なる世代のことも忘れず、授乳室の設置や赤ちゃんが遊べるスペースなども確保されています。


この活動のおかけで、中・高校生世代の来館者数は10倍以上になり、中・高校生世代にとっても、家、学校に続く、第3の居場所になりました。「新児童館ティーンズ検討委員会」としてスタートした中・高校生世代グループは、「ラフラフティーンズスタッフ」としてイベントの企画・運営や、子どもたちとの交流など現在も活動を続けています。


「私は元々、人とコミュニケーションをとることが苦手で、はじめは子ども達とうまく関わることができるのかとても不安だった。活動を繰り返すうちに、うまくいくことや楽しいことも増えていき、苦しかったことも楽しかったことも全部含めて『ティーンズスタッフ』になって本当に良かったと思う」という前向きな子どもの声もあります。



▲ティーンズスタッフは、職員と一緒にイベント企画や来館者との交流を実施


さらに、中・高校生世代の活動に刺激を受けたほかの世代も児童館の「きっずスタッフ」(小学3年生~6年生)やユニスタッフ(大学生)、あかちゃんスタッフ(0~3歳児とその保護者)、サポーターズ(保護者など)として活動したり、ボランティアとして活動する保護者が増えたり、より地域の人との交流が活発になっています。


実際に中・高校生世代・大学生による未就学児・小学生向けのイベントや、乳幼児と中・高校生世代・大学生の交流、中・高校生世代と大学生の交流、保護者同士の交流など、年齢を超えての交流が増えています。0~18歳の子どもと、その保護者が来館できる児童館だからこその体験や交流機会を提供できるようになりました。


まとめ


このように、子どもが主体となって、意見を出し合い、実際に児童館の企画や運営にかかわる取り組みがあります。


子どもの意見を尊重しながら意思決定をすることで、子ども自身に“参加している”という自覚が芽生え、“自分もやってみたい”という活動意欲の向上につながります。


児童館は、これまでも、これからも、ずっと“こどもまんなか”に活動を続けています。全国の児童館が幅広い年齢層の子どもとともに「行動(Do)」し、子どもを「ど(Do)」まんなかにした実践をより進めようとする思いを図案化したシンボルマークも活用し、児童館の社会認知拡大を目指します。




キャンペーンについての詳細はこちらをご覧ください。


ぜひお近くの児童館に足を運んでみてください。児童館の場所は、「児童館を探す」から検索いただけます。

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