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日常の中で“こどもまんなか”を実現する児童館の取り組み

2023年4月、「こどもまんなか社会」の実現を掲げたこども家庭庁が発足し、子ども・若者に意見を聞きながら、子どもたちにとって一番良い選択をすることが重要視されています。


子どもの意見を尊重しながら意思決定をすることで、子ども自身に“参加している”という自覚が芽生え、“自分もやってみたい”という活動意欲の向上につながります。


児童館は、子どもが自らの意思で自由に来館して、無料で利用することができる児童福祉施設です。これまでも安心して過ごせる「子ども主体の居場所」として活動を展開しています。


そこで、今回は子どもの意思が尊重され、専門知識を持つ職員(児童厚生員)とともに意思決定が行われている児童館のユニークな事例を2つご紹介します。



意見を直接言えない子も、「子どものいけんばこ」なら言える (たかつかさ児童館/京都市)



▲子どもたちが自分たちの声を紙に書いて届ける“子どものいけんばこ”


京都市のたかつかさ児童館では、7年前から「子どものいけんばこ」を設置しています。それまでも実行委員会を立ち上げて、子どもの意見を積極的に聞くようにしていましたが、その場では意見を言うことが難しい子もいました。


そこで、無記名で紙に意見を書き、声を届けることができる「子どものいけんばこ」を導入。「マンガがほしい」「キャンプに行きたい」などの要望や、「走り回る人がいるからこまる」など気持ちよく児童館を利用するためのルールについての意見など、子どもたちの率直な声を聞ける仕組みです。


たとえ反映できなくても、子ども一人ひとりの声を大切に



▲すぐに反映できない意見にも、職員がきちんと受け止める


職員はそれぞれの意見に対して、集団活動の中で伝えたり、掲示板に回答を貼り出したり、丁寧に回答しています。また、子どもたちの意見をすぐに反映することが難しい場合でも、「ダメ」と突き返すのではなく、反映できない理由を伝えたり、前向きに検討するために必要な要素を伝えたりすることで、子ども一人一人の意見がとても大切であることをしっかりと伝えています。


例えば、「学童に3階がほしい」という声に対しては、「簡単にはできませんが、3階でしたいことを教えてください。もしかして、ボール遊びが2つの場所でできるとうれしいかもしれませんね。」と回答し、子どもたちの声に耳を傾けています。


子どもたちは掲示板に貼ってある回答を見て、きちんと自分の声が届いていることを実感し、安心することができます。ほかの子の声が届いているのを見ることで、「自分もやってみよう」と、参加の輪が広がっていきます。


また、地域の方や保護者が立ち止まって掲示板の意見に目を向けてくれています。「子どもたちって本当にいろんな意見があって、でも児童館は真摯に受け返していてすてきですね」と感想をもらうこともあります。


一方で、「子どものいけんばこ」だけでは、拾えない声も多くあります。自分の意見を言えない子どもや、意見ではないけれどちょっとしたモヤモヤを抱えている子どもがいるからです。このような声にならない気持ちは、職員が日頃子ども一人ひとりと関わり、一緒に遊んでいる中で拾っていく姿勢が重要だとたかつかさ児童館の溝口館長は考えています。


たかつかさ児童館インスタグラムはこちらから



ほしいもの・やりたいことを周りの人に説明して、署名を集める(神戸市立六甲道児童館/神戸市)


自分の希望を叶えるための署名用紙、友だち以外の人にも想いを説明し説得する
▲自分の希望を叶えるための署名用紙、友だち以外の人にも想いを説明し説得する


神戸市の六甲道児童館では、ほしいものを購入したり、やりたい遊びを実現したりするための署名活動を、さまざまな年代の人が集まる土曜日に行っています。子どもの意見を聞くのは大切ですが、ただ希望を叶えてあげるだけのではないのがこの活動の特徴です。


子どもたちがお友だち以外の周りの子どもや大人たちに、なぜそのものが必要なのか、どうしてその遊びがしたいのかを説明したり、相手の立場に立って考えながら説得したり、コミュニケーションをとることに重きを置いている活動です。きちんと説明した上で、賛同する人たちの署名を集めることができます。


名前を集めたら、館長宛に署名を提出し、館長が前向きに内容を検討します。実際に署名を集めた結果、最近人気のスポーツ漫画や子どもたちの勉強に役立つ歴史漫画の購入にいたっています。


すぐに叶えられない希望でも、しっかり受け止める姿勢が子どもの安心感に
子どもたちが、お友だち以外の周りの人から署名を集める様子
▲子どもたちが、お友だち以外の周りの人から署名を集める様子


もちろん、署名以外で集まった子どものたちの声を含め、希望を叶えられない場合もあります。児童館は集団生活なので、自分も、周りも、楽しく快適に過ごすことが大切です。そのため、子どもの希望が自分本位の場合は、子どもの見えてない視点を大人から伝え、なぜ今の段階では希望がかなわないかを説明しています。


また、子どもたちなりにも遠慮があり、「○○はきっとだめだろう」と初めから大人に気を遣った答えを出そうとすることもあります。しかし、どんなことでも受け止める姿勢を子どもたちに示すことで、子どもたちは安心して本心を伝えてきます。


最近では、子どもが知らない人と話すことがあまりありません。「知らない人=危ない人」だと思っている子も多くいます。大人が子どもにそう教えている場合もあると思います。しかし、児童館は子どもが安心して過ごせる居場所です。乳幼児の保護者をはじめ、児童館を利用する大人にも安心して自分の思いを伝えるチャレンジができます。この活動を通して、知らない人でも、素敵な人、優しい人、助けてくれる人もたくさんいるということを知ることができます。


六甲道児童館のインスタグラムはこちらから


「これが子どもにとってよいものだ」と決め付けない


これらの事例は、日常の中で子どもの声を聞き、意見を反映する取り組みの一つです。大人の目線から、「これが子どもにとってよいものだ」と決め付けるのではなく、子どもたちの意見を取り入れることで、“こどもまんなか”な社会に近づいていきます。


児童館では、“こども主体の居場所”として、さまざまな取り組みを行っています。現在は、全国の児童館とともに、児童館を利用する子どもたちの「想い」や「願い」、「つぶやき」の声を発信する「じどうかんこどもDo(ど)まんなかキャンペーン」を 2023年12 月 31 日(日)まで実施しています。全国の児童館が幅広い年齢層の子どもとともに「行動(Do)」し、子どもを「ど(Do)」まんなかにした実践をより進めようとする思いを図案化したシンボルマークも活用し、児童館の社会認知拡大を目指します。



キャンペーンについての詳細はこちらをご覧ください。


ぜひお近くの児童館に足を運んでみてください。児童館の場所は、「児童館を探す」から検索いただけます。

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