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地域との連携による乳幼児とその保護者への取組

京都市 明徳児童館
館長 西尾 久美

1.はじめに

 社会福祉法人 京都福祉サービス協会は「児童を中心とする複合福祉的(障害・家族・地域)活動の推進」「異世代異年齢交流を通した 子ども育成・子育て家庭支援・地域子ども育成環境の創出」という児童館事業運営理念のもと、明徳児童館他3館の運営にあたっています。児童福祉活動は、障害福祉 高齢福祉との連携と協働を通して、付加価値と相乗効果を産み出すことができ、その成果を地域における総合的な福祉活動の展開につなげることができます。平成22年に開館した明徳児童館でも地域のニーズを探りつつ、健全育成・親支援・自立支援・社会活動への参加と参画促進・共生のまちづくりに取り組んでいます。

2.地域連携による取組のねらい

 生後早い時期からの児童館利用と、保護者の交流・仲間づくりを進め、また、転居してきた若い子育て世代と、代々住んでいるシニア世代の異世代交流による地域福祉を促進するため、関係機関や他の福祉分野、地域団体と連携して取り組みを行っています。

3.取組内容

①専門家との連携
- ベビーマッサージと交流ランチタイム 『和(わ)・笑(わ)・輪(わ)』-

 毎月2回、こんにちは赤ちゃん事業で新生児訪問指導を担当する助産師を講師に、ベビーマッサージと交流ランチを実施しています。助産師と児童館が「親同士がつながり助け合えることを大切にしたい」との思いを確認し合い、取組名を「和いわい、笑って、輪になって」の頭文字をとって名付けました。
 地域を訪問している助産師や保健師からの紹介により、新生児の児童館利用に繋がり、「和・笑・輪」が他の取組への参加の窓口ともなっています。
 助産師を交えての交流ランチタイムは自由参加で、ベビーマッサージを卒業した親子も加わります。専門家への敷居の低い相談の場となり、保護者同士の出会いと交流の場となっています。初めて来館する親子や、輪の中に入っていけない親子には、助産師や職員、地域ボランティアが間に入ってコーディネートし、親同士の仲間づくりを大切にしています。  助産師・保健師・市営保育所地域子育て支援拠点事業担当保育士が、課題のある家庭や、発達面で心配がある子どもの保護者に対しても児童館の利用をすすめてくださいます。課題のある家庭にとっても児童館が「居場所」となることで、専門家と連携をとって日頃からの細やかな支援に繋げることができます。
 助産師の保護者への対応から学ぶことが多く、職員のスキルアップにもつながっています。

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『和(わ)・笑(わ)・輪(わ)』 ベビーマッサージの後は助産師さんを囲んでランチ。
子育ての悩みからダンナの愚痴まで、気楽におしゃべり、悩みも軽くなります。

②医療機関との連携
- 子育て講座「歯のお話し」-

 校区内の歯科医院(小児歯科)から「岩倉地域の子どもたちの歯の健康状態が悪く、子どもの歯について正しい知識と口腔衛生管理の方法を知ってもらいたいため、ボランティアで啓発活動を行いたい。」との申し出をいただき、毎月1回(不定日)実施しています。地域の多くの乳幼児保護者に継続的に啓発する必要があるため、乳幼児親子が参加しやすいよう、月毎にさまざまな取組終了後のランチタイムに設定しています。約15分のミニ講義の後、昼食をとっているテーブルを回って個別相談に応じて下さいます。
 「毎日のケアが大切と分かった。」「こんな小さな子どもを、どこの歯医者さんに連れて行ったら診てもらえるかも分からなかった。児童館で相談ができて良かった。」等、保護者には好評です。毎月開催するので繰り返し啓発でき、成長に応じて生じる新たな悩みにも相談に応じてもらえます。今後は乳幼児期の歯科衛生に関心の低い保護者へも参加を促し啓発することが課題です。

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女性歯科医師のミニ講義の後は、ランチをとりながら個別相談タイム。
気になることが気軽にゆったりアドバイスしてもらえます。

③他の福祉分野の機関との連携
 地域包括支援センター・介護予防推進センターによる転倒予防体操に施設提供し、終了後、高齢者と乳幼児親子のふれあい体操タイムを、1クール8回、年間2クール程度実施しています。
 参加した高齢者は「ほんまに可愛いわぁ」「今日も元気もらいましたわ」等、ふれあいを楽しみにしておられます。回を重ねるごとに、高齢者から「最近は調子どう?」などと保護者に話しかけ、子どもの体調や成長を気にかけておられる様子で、子どもを中心に会話も弾みます。
 小学校内にある単独児童館への高齢者世代の来館の機会となり、定期的・継続的に顔を合わせることにより、子どもの成長を共に喜び子育て世代を励ます関係づくりを進めています。

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1階で高齢者の転倒予防体操、2階で乳幼児親子の遊びの広場、
終わったらみんな2階でふれあい体操タイム。

④地域団体との連携
明徳学区社会福祉協議会では児童館開設以前から児童の専門委員をおき、地域の子育て支援(公立幼稚園での未就園児の子育て支援事業等)にあたっておられました。児童館開設後は、児童館の地域福祉促進活動に賛同が得られ、ベビーマッサージやふたごの広場などの子育て支援活動、子ども育成活動に、日常的に協力をただいています。
 ようこそお母さん事業で訪問した民生委員と保護者が、児童館利用で再会するなど、地域の団体で活動する住民と、乳幼児親子の顔が繋がるきっかけとなっています。地域で活躍するシニア世代に関わっていただくことが、シニア世代にとって現代の子育て家庭の様子や児童館を知る機会となり、地域の世代間交流の場ともなっています。

4.成果と課題、今後の展望

「笑顔と笑顔をつなぐ」
 児童館には、この他にも、カイロプラクターによる「産後のお母さんのための体操教室」、女性武道家による「母と子の防犯教室」、美容師親子による「家庭でできるヘアカット教室」、ブックトークや英語などなど、多くの地域の子育て応援隊の方々にご活躍いただいています。児童館が日々多くの乳幼児親子でにぎわい、その機能と役割を地域に向けて発信することにより、子育て支援・福祉・医療のさまざまな機関、専門家、熱意ある地域住民の協力が得られ、児童館の取組内容が豊かに展開できます。私たち職員はフォロー役に回れるので、利用者に対しきめ細やかな対応が可能になります。
 今後は、子どもがいる生活のイメージをもてるよう妊娠期からの児童館利用促進し、また児童館で出会い仲間になった保護者の自主的な子育てグループ活動の育成にも力を入れていきます。

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月1回の「ふたごの広場」には多胎育児家庭が集まります。
子どもが大勢いても、おばあちゃん世代のサポートで、お母さん同志はのんびりおしゃべりできます。

 単発の行事だけでなく、定期的・継続的な取組を息長く積み重ねることにより、「出会い」から「顔見知り」「仲間」へと関係が深まります。次代を担う子どもが地域の高齢者を敬い、親しみをもって育っていくこと、また地域ぐるみで子どもの成長を喜び、子育て世代を励ます関係づくりをめざし、世代間交流を通して次世代育成の循環構造(世代間扶助)を地域社会に築きたいと考えています。児童館が地域住民にとって「活躍の場」となり「うちらの児童館」となるようなコーディネート力が、職員に求められるところです。私達職員は心のアンテナを研ぎ澄まし、子どもと子どもをとりまく人々の笑顔と笑顔をつなげていきたいと思います。

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地域の子育て応援隊 カイロプラクターによる「産後のお母さんのための体操教室」
ボランティア講師もプレママ。先輩ママと和気あいあい。/
地域の子育て応援隊 女性武道家による
「母と子の防犯教室」親子で楽しみながら、護身を学びます。

施設基本情報

施設名  京都市明徳児童館
施設種別  小型児童館
運営形態  公設民営
運営団体名  社会福祉法人 京都福祉サービス協会
所在地  京都市左京区岩倉忠在地町215-2
創設年  平成22年
来館児童数  1日平均 約47名(平日)
登録児童数  1年生-3年生 合計105名
スタッフ数  通常 7名体制

 小学校の敷地内に、平成22年4月に開館。児童クラブが一元化されている。農地が宅地に変わり、代々住んでいる家庭より、転居してきた若い世代の家庭が多い地域。シニア世代を中心に地域団体による活動が活発。
 地域住民や福祉・教育・医療各分野との連携により、子どもと子育て家庭を支える地域社会を創造する。

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