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地域の児童館のネットワークづくりにおける 大型児童館の役割 -全国大会を通して-

愛知県長久手市 愛知県児童総合センター
高阪 麻子

 愛知県では昨年(平成24年)、「第12回児童館・児童クラブあいち大会」を開催しました。多くの児童厚生員が関わり、泣いたり、悩んだり、真剣に議論を交わしあい、たくさんの時間と労力を費やしました。そしてこの大会で愛知県の児童館は大きな財産(成果)を得ました。
 県立の大型児童館として県内にどのように発信し、この成果をどのように県内のネットワークづくりに繋げていくかを考察しました。

1.現状と課題/

 愛知県は児童館数が多く(291館は全国3番目)、地域差も大きく、さらには職員の異動が多いためネットワークが構築しにくく途絶えがちなのが現状でした。そこで、もっと活発なネットワークをつくるために、県内児童館が一堂に会し、思いを共有できる場が必要だと考えました。

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2.研究大会の開催

 ネットワークづくりのきっかけとして、児童厚生員が自らの意思で関われるような場を作りたいと思い、交流を主な目的とする研究大会を開催しました。

第1回元気スイッチon!!あつまれ!あいちのじどうかん

 タイトルのとおり、まずは「あつまること」を目的とし、初めて県内の児童館が集まる機会を作りました。しかしながら「地域に根差す児童館が、県内で集まる必要性を感じない」という声もあり、反応がイマイチでした。

第2回元気スイッチon!!あつまれ!あいちのじどうかん

 必死の広報の結果、参加する市町が少し増えました。集まりやすさを重視して会場を決めたり、一般へのアピールも重視しました。

全国児童館・児童クラブあいちプレ大会

 県児連の40周年記念事業と同時開催し、県児連の全面的なバックアップを受け、県内全域に伝えることができました。参加者も大幅に増え、県内が盛り上がってきました。

第12回全国児童館・児童クラブあいち大会

 これまでの大会をステップにして、100人近いスタッフで開催しました。参加者も1,000人を超え、有意義な大会となりました。県内の児童厚生員が身も心も結集し、全国の仲間に向かって発信できるこの素晴らしい機会にオール愛知となって取り組むためには、この全国大会でなければなりませんでした。

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3.ネットワークづくりの働きかけ

 これらの大会を開催するにあたって、地域の児童館にむけてネットワークを意識した働きかけをしました。

実行委員会形式での大会運営

 各地の児童厚生員が集まり、自分たちの思いや本音を声に出し、カタチにしていく過程を体験しました。委員会では市町の壁はなく、より強いつながりができました。

人と人、組織と組織をつなぐ

 委員会で完結せず、市町に持ち帰って協力してもらうような機会も設けました。また事務局も54全市町村を訪ね、大会の詳細や必要性を伝えていきました。行政に直接伝えることができ、つながりもできました。

県児連との協力

 愛知県は県児連加入率100%であり、連携は必須でした。県内全体において多くの協力が得られ、県内全体の意識を高めることができました。

メーリングリストの活用

 企画運営をしていく上で、情報共有の補助ツールとしてメーリングリストを活用しました。全国大会では実に約1,900通のメールが飛び交い、多くのスタッフが同時に情報を共有することができました。

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4.実践の効果 -あいち大会の財産として得たもの-

全国大会を終えて、実感している現状や企画委員の報告をキーワード化し、その効果を3つに分けました。

  1. 短期的効果

    個人の思い、熱意が強くなったこと/

     大会後は、意欲的に研修に参加したり、積極的にグループワークを進めたりする姿が見られるようになりました。意見を伝え、自ら活動することの楽しさに気づき、市内の研修を改革し始めた委員もいます。

    個々のつながりが強くなったこと

     委員はともに苦労した仲間として、参加者は同じ感動を味わった仲間として繋がりを感じています。これらは単なる顔見知りではなく、新しい刺激や情報を得ることができる発展的なつながりと言えるでしょう。数が少ない男性職員や若手同士が集まり活動を始めたグループもあります。

    所属の絆が強まったこと

     委員として活動は、自分の市町での時間を割くこととなり、仲間や所属のサポートなしではできませんでした。背中を押してもらい、応援してくれた仲間や上司に対しての感謝の気持ちを強く持つことができました。また委員が得た情報やつながり、刺激などを所属の仲間に伝えることの大切さにも気づきました。市内複数のNPOの垣根を超え、仲間意識が強くなったという報告もあります。

    名古屋市との連携

     元気スイッチon!!では現場サイドで、プレ大会では市児連と県児連で繋がりました。全国大会では県と市の大きな手助けをいただきました。今後は合同の研修会も検討されており、これらはとても大きな成果と言えるでしょう。

  2. 期待される中長期的効果

    個人からの派生

     個人に芽生えた熱意やつながりが同僚に伝わり、そして組織全体へと派生していくことが期待されます。組織のバックアップにより個人も育ち、また組織自体が高まるという良いサイクルが考えられます。

    行政の強い支え

     「他に同じような事例はあるのか?」「県内全体と比べウチの町はどうか?」など市町村の行政からの問い合わせが増えました。他を知ることでより市町を良くしたいという意識が高まっているようです。今後は行政間のネットワークにも働きかけていきたいと思います。

  3. 最終成果=すなわちめざすところ

     これらの繋がりが、やる気や熱意だけに頼らず、仕組みとして確立されていくことをめざしたいと思います。ネットワークは、今ある連絡体制だけにとどまらず、それがこの後も継続されていくことに意味があると言えます。またその仕組みが県全体に広がる手がかりは、県立の大型児童館のさらなる働きかけが必要であると考えます。

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5.まとめ

 ネットワークは、「顔と顔を合わせる」ところから始まります。そして、個人→組織→仕組みへと広がっていきます。大型児童館は、その流れがずっと続けていくように、働きかけ続けることが重要な役割だと感じています。
 今後も県内のネットワーク作りのために「つながることが続いていくこと」を目指していきたいと思います。

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施設基本情報

施設名 愛知県児童総合センター
施設種別 大型児童館
運営形態 公設民営
運営団体名 公益財団法人 愛知公園協会
所在地 愛知県長久手市茨ヶ廻間乙1533-1
創設年 平成8年
来館児童数 1日平均 約584名(平日)
約2,238名(休日)
スタッフ数 通常 17名体制

 郊外の大きな都市公園の中にあり、たくさんの親子でにぎわう県立の大型児童館です。大人と子どもがともに新しい発見をできるようなあそびの環境作りを目指しています。また約300ある県内児童館の中核として、県内全域を対象とした健全育成活動や職員に対する研修、相互交流の機会づくりに積極的に取り組んでいます。

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