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中学生とあかちゃんの異年齢交流事業  ーミックスジュース2013 小さな命にふれたときー

川崎市 千代ヶ丘こども文化センター
館長 谷本 真由美

1.異年齢交流事業ミックスジュース?

 はじめに、なぜタイトルが「ミックスジュース」というのか、それは乳幼児から大人まで、幅広い年齢の人たちが交流をすることで、お互いに吸収し学び合い素敵なものができあがるという意味を込めてつけました。

2.きっかけは少年との出会い

 この事業を行いたいと思ったきっかけは今から5年前、「いじめ」による中学生の不登校児との出会い。インターネットを使った集団での陰険な「いじめ」を何度も受け、心を閉ざしそうになったAさんに私たちは真剣に向き合い、中学校と連携をしながら無事卒業を迎えるまでに至った道のり。更に川崎市で「いじめによる自殺」が3年前に起きた事を知り、地域で私たちが児童厚生員としてできることは何か、また地域の中高生が「いじめ」や「自殺」の被害者や加害者にならないためには、命の大切さをどう伝えれば良いかを職員と共に考えていました。

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3.命の大切さを伝えたい!

 そこで地域教育会議に出席をした折、近隣の中学校長も出席をされておりましたので中学生が、こども文化センターを利用している状況や近年なかなか無くならない中高生の「いじめ」や「自殺」について、わたくしたちの思いと命の大切さを伝える事業を行いたいという話をしました。すると学校長の考えと学校予定を優先することで、この事業にご協力をいただけることになりました。
 また、私が勤務しているこども文化センターには児童館型の子育て支援センターがあり、近隣の保育園の方が講座を行ってくれているため、園長へ相談に行きました。すると、私たちがこの事業に対する思いに共感をして下さり、すぐに保育士の派遣協力を約束して下さいました。更に、保健福祉センターの方も定期的に乳幼児親子向けのサロンを行っているためセンターの課長へ相談をすると、保健師派遣について快諾をしていただけました。そして、千代ヶ丘こども文化センター運営協議会の会議でもこの事業の話をさせていただき、メンバーである主任児童委員の方がぜひ協力をしたいと申し出て下さり、異年齢交流事業「ミックスジュース2013」の準備が着々と進んでいきました。

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 事業実現に向けて計画書を作成し、改めて中学校へ向かい学校長へ事業内容の説明をするとすぐに理解を得て、担当職員を決めてもらい、参加者は公募にすることにしました。
 また中高生向けのおたよりを発行し、近隣の高校からも事業内容の理解を得て、学校から全校生徒へ配布をしていただきボランティアの募集をしました。

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 次に予定を合わせて中学校の担当職員、保健師、保育士、こども文化センター職員と会議を設け、事業の日程と生徒たちと行う事前学習会について話し合いました。中学校の担当職員へは放課後に事前学習会を行えるようお願いし、学習会の内容では沐浴人形を使いながら、生命の誕生から乳児の抱っこの仕方まで保健師が担当することになりました。そして手遊びや幼児との関わりで気を付ける事を保育士から説明することが決まり、当日の流れをこども文化センター職員から話すことになりました。
 乳幼児親子には、日頃からこども文化センターを利用している方へ来館時にチラシを配布しながら事業説明を行い、主任児童委員の協力も得て地域のサロンへ呼びかけをしていただき参加募集を行いました。

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 乳幼児対応事前学習会当日、公募で集まった47名の生徒と事前学習会を行いました。保健師から赤ちゃんの育ちについて資料を基に話しをしていただき、希望する生徒には妊婦体験ジャケットを着てもらいました。普段の動作をするよう伝えると、「重たい」「大変」との声が女子生徒だけでなく男子生徒からも上がりました。

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事前学習会はじめます / 妊婦体験ジャケットは重い

 次に全員に新生児と同じ大きさと重さの沐浴人形を抱っこしてもらうと、純粋に沐浴人形の手や足を見て「小さいね」「こんなに大きさが違うんだ」などと驚いている場面も見られました。  次に、保育士から幼児との接し方のポイントと手遊び、歌遊びを学びました。実際に生徒と一緒に手遊びを行うと恥ずかしくなり下を向いてボソボソと歌っていましたが、それでも全員がきちんとやっている姿が微笑ましく感じました。私たちはこの事前学習会を終え、参加を希望してくれたたくさんの中学生のためにも、この事業を絶対に成功させたいという気持ちでいっぱいになりました

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あかちゃんて小さいね

4.思いを胸に

 本番当日、天気が心配される中、異年齢交流事業「ミックスジュース2013」がスタートしました。乳幼児親子の参加申し込みは26 組ありましたが、寒い時期でもありましたので、当日を迎えるまでドキドキしていました。しかし私たちの心配をよそに、当日申込み親子も含めて28 組の参加があり、更に中高生向けのおたよりを見てボランティアをしたいと連絡をくれた近隣の高校生も2名当日参加をしてくれました。  オープニングでは、中学生が部活の合間に学校で練習をしてきてくれた歌遊びを全員が笑顔で歌ってくれ、幼児さんもその姿を見ながら楽しそうに真似をしていました。その後は、あそびのコーナーや工作のコーナーに中学生が分かれ、始めはぎこちない様子で対応をしていましたが保健師や保育士、主任児童員が間に入り、おもちゃや風船であやしたり、乳酸菌飲料の容器でミニミニマラカスを一緒に作っていると、表情が少しずつ柔らかくなっていました。また、生後2ケ月の赤ちゃんを持つおかあさんが、ぜひうちの子を抱っこさせたいと言ってくださり、「来年も参加するので、1年たった姿もみてください」と中学生に声をかけてくれていました。中学生男子もあかちゃんを抱っこさせてもらい、緊張しながらも小さな手を見つめている姿がとても印象的でした。

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はじめての抱っこ / 全員でハイポーズ

 事前学習会では不安だという意見や、半分遊び気分でいた生徒たちが、当日アンケートの結果では「たくさんの小さな子と触れ合えて楽しかった」「ミックスジュースに参加して、改めて命の大切さに気付くことができました」「来年も参加したい」という意見が多く、この事業の成功を感じた瞬間でした。また、保護者アンケートでは「もっと近隣の幼稚園や保育園にも広報して広めたい」「中学生が子どもたちとニコニコして遊んでいたのが、見ていて、とてもほほえましかったです」「次回もぜひ参加したい」など、賛同して下さる意見も多かったです。
 「ミックスジュース」終了後、中学校の先生方が驚くほど生徒一人ひとりの目が輝き、男女共に優しい表情になっていたのがこの事業の答えだとつくづく感じました。
 また、この事業の目的や意義を理解してくれた地域の乳幼児親子や、各関係機関の協力があったからこそ実現できた事業でもあります。今後も連携を密にし、次年度は高校生へも広げる方法を模索しながら、命の大切さを訴えていきます。

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施設基本情報

施設名  千代ヶ丘こども文化センター
施設種別  児童センター
運営形態  公設民営
運営団体名  公益財団法人 かわさき市民活動センター
所在地  神奈川県川崎市麻生区千代ヶ丘1-20-60
創設年  昭和63年
来館児童数  1日平均 約103名(平日)
スタッフ数  通常 2名体制

千代ヶ丘こども文化センターは、新百合ヶ丘駅から徒歩15分程度の距離にあり、丘陵地帯を開発した閑静な住宅街の中にあります。現在でも近隣の丘陵地の開発がすすんでおり、人口の増加が見込まれる地域です。地域の方々の意識も高く、センターにおいても、自治会・こども会・PTA等の協力を得ながら運営しています。

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