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発達障がい児のための動線と見通しのたて方を活用して

大阪府泉大津市 旭小学校 仲よし学級
指導員 森口 妙子

1.放課後児童クラブに求めるもの

 少子化で子どもの数は減ってきているものの、働く母親の増加に伴って留守家庭児童は増えています。放課後児童クラブにおきましても保護者のニーズが多様化し、徐々に開設時間の幅が大きくなり、民間の放課後児童クラブでは早朝から夜遅くまで小学生を預かるという所もあります。これは母親の勤務時間がそれだけ長くなっている、すなわち子どもと関わる時間がその分短くなっているということを表しています。

家庭で子どもと関わる時間が短くなると、どうしても家庭での養育機能が低下してしまいます。そのため保護者から「基本的な生活習慣や躾をしっかりと身につけさせてほしい」と要望されます。もう、子どもの養育の責任を家庭のみに求めるということに限界がきているのかも知れません。

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2.こんな子が多くなりました

 では、放課後児童クラブの現状はどうなっているのでしょうか。運営形態や立地環境、設備、職員体制など施設における様々な問題がありますが、ここでは子どもたちに焦点をあてて考えることにします。
 近年、発達障害に加え、同じような特性を持つものの発達障害の認定までには至らない、いわゆるグレーゾーンとよばれる児童が急増しています。これは、その子どもたちの行動を観察したものです。一人でいくつも重複しています。

多動である/会話が合わない/
集団が苦手 /人の話が聞けない/
呼んでも応えない/忘れ物が多過ぎる/
キレて暴言暴力/強いこだわり/
暗黙の了解が苦手/突然の大声や奇声/
目を合わせない/新しいことが苦手/
ボーとしている/ 変更が苦手/
集中力がない/すぐに発言する/
掃除片づけが苦手/本が読めない/
一人でいる/ 学習につまずく/
すぐに人をたたく/物をよく失くす/
偏食が強い /他者に関心がない/
ちょっかいを出す/すぐにあきらめる/
食べ物への執着/ルールが解らない/
漢字が書けない/楽器音に耳を塞ぐ/
いいなりになる/リコーダーが無理

 これらの子どもたちは、いずれも発達障害の特性を持っているのですが、実は発達障害の認定はされていません。このような子どもたちがとても増えているのです。その原因は脳の機能障害によるものなのか、それとも先に述べた『家庭での養育機能の低下』によるものなのか、一概には言えません。ただ、このような児童が一つの集団の中で多く存在すると何事においても進行が妨げられ、まとまりのない騒々しいだけの集団と化してしまいます。小学校の教師が授業で教科に専念しづらくなっているように、放課後児童クラブにおいても、この対応のあり方が問われています。発達障害と認定され手厚い支援を受けられる児童がいる一方で、発達障害の特性を同じように持ちながらも支援からもれてダメな子と叱責ばかり受ける児童たち。この子たちにどう向き合えばいいのでしょうか。

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3.そこで・・・

 放課後児童クラブでは、発達障がい児には「支援」や「援助」という形で、そして健常児には「指導」という形で、対応の仕方を区別しているところが多いのではないでしょうか。
 こちらでも発達障がい児のために、一日の見通しを眼で見てわかるようにした時系列の表の貼り出しや『これから何をすればいいのか』といった見通しの声かけを必ずして誘導しています。そこで、それを一人一人全員に対して、例えば帰ってきたら「おかえり。今日は火曜日で6時間授業だったので、おやつを食べてから宿題をしますよ。」と、これからの見通しの声かけをしてみました。その結果、次に取る行動が『全体的』に早くなりました。またイベントなどいつもと違うことをするときや急な変更も、『健常児なら言えばわかる』という考えを改め、『言われてもわからない子がいる』と認識し、伝えたいことを簡単に紙に書いて貼り出すなど、その都、全員が目で見てわかるようにしました。
 また、集団生活の中でグレーゾーンとよばれる子どもたちが入ると、ほんの些細なことも大ごとになってしまったり、周りの子に迷惑行動をしていきます。そこで、「みんなと本当は仲良くしたいのだけれど、どうしたらいいのか自分でもわからなくて、本人もとても困っています。だから、みんなは怒るのではなく、どうしたらいいのか優しく教えてあげてね。」と、"迷惑をかけている当事者も含めた全員に"お願いしてみました。すると、"迷惑をかけている当事者を含めた全員が"人の世話をするようになりました。してはいけないことを注意したり、どうすればいいのかを教えてあげたり、「こっちにおいで」と仲間に入れてあげたり、みんな、子どもなりに思いやってくれるようになりました。

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4.おわりに

 さて、子どもの個性や個人差が表れやすいのは集団行動をしているときよりも、むしろ自由行動や自由に遊んでいるときのようです。このときの行動の観察はさまざまな問題の原因を探るうえでとても重要です。この自由行動のときの記録は個別の指導や援助にとても役立っています。発達障害の子どもたちもグレーゾーンといわれる子どもたちも、また普通とよばれる子どもたちも、みんな違う能力を持ち、その能力を子ども同士がお互いに学びあっています。この子ども同士の関わりから生まれる力も借りることにしました。
 また集団生活では、指導員の考え方がはっきりと子どもたちに出されます。子どもたちを一斉に計画的、能率的に指導できますが、反面、強制的にならないように注意しなければなりません。これらのことをふまえ、指導での命令口調を改めるようにしました。
 このように関わり方を見直してみた結果、子どもたちも自分の次の行動がわかることで自信につながり、気持ちのゆとりから周りが見え、自主性が育つということが確認できました。また全体的に落ち着き、多動な子に対しても『困っている子』と認識し、子ども同士で誘導する思いやりが芽生えました。今後も工夫を重ね、誰にとっても居心地のよい児童クラブづくりをしていきたいと思います。
 少数の中のサンプルでしかないのですが、以上で私の実践報告を終わります。〔※文中のグレーゾーンという表現は適切ではないかもしれませんが、この場ではこのように使わせて頂きました。〕

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施設基本情報

施設名 旭小学校 仲よし学級
施設種別 放課後児童クラブ
運営形態 公設公営
運営団体名 泉大津市教育委員会 生涯学習課
所在地 大阪府泉大津市東雲町9−12
創設年 昭和57年
登録児童数 1年生〜3年生 合計95名
(うち来所児童数 1日平均 約80名)
スタッフ数 通常 5名体制

 「大阪なんば」と「関西国際空港」との中間地点にある泉大津市は昨年「市制70周年を迎え」ゆるきゃら「おづみん」が誕生しました。毛布の生産で有名で被災地には必ず真空パックの毛布がこの泉大津市から送られています。泉大津市のだんぢりは、かちあいという激しい祭りで知られており、また港では国内船や外国船が行き交っています。旭仲よし学級はイベント活動が活発で、一年間の活動をDVDにまとめて保護者に贈り、日頃の子どもたちの様子を見てもらっています。

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