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「理想の施設」を夢見て

自然体験・野外活動を通した健全育成活動

長崎県大村市 西大村遊學館 指導員 村上彰一

学校内だけのものではない教育、自分が理想とする健全育成とは?
さまざまな葛藤の中で出会った、「野外教育」や「冒険教育」。
理想を実現するために設立した西大村遊學館で、チャレンジが続いています。

p72_1.jpg キャンプなど、生活を共にすることで、児童間の距離も密になります。

もがきながら見つけたもの

 私が放課後児童クラブに出会ったのは平成10年(1998年)、国の施策である放課後児童健全育成事業が実際に運用され始めた年でした。ある社会福祉法人(保育園)が運営する放課後児童クラブの職員募集があり、そこから私の指導員としてのキャリアがスタートしました。
 恥ずかしながら、この仕事を始めるまで「放課後児童クラブ」という存在を知らず、最初は何をどうやってよいのやら、試行錯誤を続けていましたが、そのうちに自分の中で『教育は学校内だけで行われるのではない!』、『学校教育では実践できない教育には、どんなものがあるのか?』という思いを抱くようになりました。
 そうしてひとりもがいているときに、「野外教育」・「環境教育」・「冒険教育」というものに出会いました。そこには『チャレンジする精神』、『多くの失敗体験からの学び』、『他者と協力しなければならない作業』等々、私が子どものころに体験していたものがあり、『これだ!』と腑に落ちた自分がいました。
 最近、子どもを巻き込んだ事件がニュースで報道されるようになってきました。そのような状況の中、たとえ近所の公園であっても、我が子を遊ばせることに保護者は神経をとがらせる時代になっています。また、子どもたちの遊びにも変化が見られるようになりました。ゲームなどのバーチャル(虚像)な遊びの普及によって、鬼ごっこなどのリアル(現実的)な遊びが少なくなってきています。さらには個人を尊重するあまり、他者との競争意識が育たなくなるなど、『ナンバー1よりオンリー1』という風潮が認められるようになってきました。もちろん、個人を尊重する考えを否定するつもりはありませんが、あまりにも偏った個人主義が重視されすぎているように私には見えるのです。

p72_2.jpg いつもチャレンジ精神を忘れずに。

そうだ!自分の施設を作ろう

 保育園での勤務経験は私にとって貴重な時間でした。小学校がある日の午前中は保育室に入り、現場目線で就学前の子どもたちの成長発達を勉強し、さらには、事務関係のお手伝いをすることで、保育行政も勉強させていただきました。
 しかし、保育園併設型の児童クラブでは保育園の行事に左右されるなど、小学生が保育園児に合わせて行動しなければならない場面が多くありました。成長の連続性はあるものの、小学生は未就学児と一緒に行動させられるジレンマを多少感じているようでした。  また、保育園側も保護者も『保育園の延長』といった印象をもっているような観があり、「そこまで(野外での活動は)しなくても...」といった意見もありました。そんな葛藤の中で、私が行き着いた結論が『独立して自分の理想とする施設を作ろう!』でした。まだ私が30歳になる手前、29歳のときのことでした。

p72_3.jpg 自分で作れば味も格別です。

アルバイトで経費を捻出

 設立に際しては私の親と数名の理解者から借金をし、空き店舗を見つけて事業を開始しました。平成16年7月からの開設で最初の児童は4名、月謝は1人15,000円。そのときの家賃が55,000円。これに水道光熱費、日々のおやつや活動費など、計算の速い方ならこれ以上説明する必要はないでしょう。
 児童数も数名ずつの増加はありましたが、スタッフの賃金などを捻出するまでには至らず、この状況が3年間続きました。その間、家庭教師やファミリーレストランでアルバイトをし、ファミレスでは時給の高い深夜から明け方まで働き、夏休みなどは明け方そのままクラブへ出勤......という日が何度もありました。しかし、私には『子どもの教育をしたい!』という強い気持ちがあったので、このような状況でも続けられたのではないかと思っています。

p72_4.jpg みんな一緒に寝袋体験。それだけでワクワク。

p72_5.jpg 子どもたちの大好物「焼きマシュマロ」。

使命を胸に、さらなる前進を

 4年目からは、行政からも認可を受け「父母の会」として、行政からの委託事業として補助金を受け運営しています。それに伴いスタッフの賃金も安定しました。
 平成22年5月1日現在で、児童数31名、スタッフは3名体制で順調に事業を実施できています。今後も、さまざまな体験活動と日々の生活を通して、児童の健全育成に邁進していきたいと思っています。

p72_6.jpg 「生き抜く力」を養ってくれる「自然体験・野外活動」。見てとって学びます。

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西大村遊學館の概要

 設立当初から自然体験・野外活動を多く取り入れ、キャンプに関しては年間合計10泊程度を実施しています。野外での活動・生活を通してその楽しさを伝えるのはもちろんですが、安全管理も含め、日々の生活の中で子ども自らが考え行動できるよう、スタッフは意識して子どもたちと接しています。
  • 施設名称:西大村遊學館
  • 施設種別:放課後児童クラブ
  • 所在地:長崎県大村市
  • 創設年:平成16年
  • 登録児童数:1年生-6年生 合計31名
  • スタッフ数:通常3名体制

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