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ベテラン児童館職員からのメッセージ 「児童館職員として大切にしてきたこと」

児童館一筋で実践を積んできたベテラン職員の方にお話を伺いました。今回は、東京都東久留米市・斉藤朋行さんから「人」に着目したメッセージをお寄せいただきました。


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私が、児童館職員として大切にしてきたことは、「先輩職員から継承した児童館の理念」「子どもたちが教えてくれたこと」「保護者、地域のボランティア、関係者からの助言」が基礎となり、児童厚生職として子どもたちと長期的、継続的な関わりや経験を通して蓄積されたものです。本稿では4点に整理し、紹介します。


子どもと一緒に遊ぶこと


当市の児童館では、自由来館や日常の楽しさを重視し、「子どもたちとの関わり方」「利用者に寄り添った運営」を長年大切にしてきました。「利用者のありのままの姿」を受け入れることが職員の基本姿勢になります。児童館職員として最も大切なことは、子どもとたくさん遊ぶこと。子どもたちと職員が一緒に遊び、楽しい時間を共有することで、信頼関係を構築します。当市の児童館の最も大切な理念は、「子どもたちとの関わり」を重視してきたことです。信頼関係を構築する過程で子どもたちは「、先生は、なぜ児童館の先生になったの」と、必ず質問します。この言葉は、子どもたちの職員に対する興味や関心を表現する素敵な質問だと感じます。


職員の「気づきのセンス」


日々の子どもの小さな変化に気づく職員でありたいと思います。ちょっとした成長や進歩の変化を褒めて、保護者に子どもの様子を話すためにも、些細な変化を察知できる洞察力が職員に求められます。そのためには、「子どもの発信するテレパシーをキャッチするために、職員としてアンテナを磨くこと」が重要であり、職員の「気づきのセンス」がとても大切になります。児童館職員は、「子どもの近くにいる 職員でなければ感じ取れないこと」「ネグレクトの状態にある児童から直接訴えを聞く機会」があるので、子どもたちから見て、いつも話しかけられやすい雰囲気づくりを意識しています。


職員集団は「幕の内弁当」?!


色々な子どもたちを受入れるためには、多彩な職員が必要になります。様々な利用者を受け入れる児童館だからこそ、児童館職員は、性別、年齢、経験年数、経歴等の「差」を児童館運営の幅として活かすことが大切です。理想的な職員の構成バランスは、お弁当に置き換えると色々な具材が詰まっている「幕の内弁当」。好き嫌いのある人でも食べられる選択肢が多くなります。乳幼児とその保護者から中高校生年代の利用者に対応出来るためには、偏りのない職員集団の構成が重要です。児童館の特徴である、異年齢、不特定多数、自由意志での来館による利用者に対して、児童館職員は、子どもの発達段階に応じた柔軟な対応が必要です。館の雰囲気を左右する大切な力の一つに職員のチームワークがあります。職員間で意見の違いが生じる時は、物事に対して多角的、多面的な捉え方をしています。各職員の子ども育成論や子ども観の解釈の違いは、館の運営にとって層の厚さを生むと前向きに考えます。チームとしての考え方を一つに限定して、無理に職員間の意見をまとめなくてもいい場面があります。「今やれる範囲内でベストだと思う選択をその都度する」この考え方で今まで色々な課題を乗り越えて来ました。理想を語る職員、現実を語る職員のどちらも必要です。職員がチームに貢献出来るのは、職員一人ひとりが大切にしている価値観が満たされている時だと感じます。


福祉的機能(虐待防止、早期発見、いじめ防止)を発揮するために


児童館職員は、困っていながらも自ら「助けて」と言えない子どもの気持ちを理解しておくことが必要です。家庭環境、保護者の考え方、子どもの様子、子どもを取り巻く環境が大きく変化しています。児童館職員は、利用者が抱える「家庭環境の問題や悩み」「子ども自らの力では解決できない困難なこと」に数多く直面しています。その時、児童や保護者に対する接し方や受け止め方がとても大切になります。問題を抱えた利用者が児童館に来館した時、支援が必要かどうか、適切なサポートはどうあるべきか―専門機関と連携して情報を提供する上で、その時のベストな判断が求められます。そのためにも、日常の遊びや子どもとの丁寧な関わりを通して状況を把握し、情報を数多く入手しておくことが重要です。


出典:じどうかん2017夏号

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